1: 雨宮◆3.yw7TdDMs 2015/02/16(月)19:44:54 ID:htD
冷血とはこのことを言うのか。「イスラム国」による湯川遥菜(はるな)さんとジャーナリスト後藤健二さんへの
残忍な仕打ちと、ヨルダンの人質パイロットを焼き○す映像に、誰もが底知れない恐怖、
激しい憤りと悲しみを感じたに違いない。まさしくイスラム国は、「悪」の化身ではないかと思わざるを得ないほどだ。
ただ、映像技術と効果音を巧みに使った動画は、リアリティーを欠いたゲーム感覚を醸し出し、どこか既視感にあふれている。
ネットに繰り出す動画やメッセージには、世界中でゲーム愛好家が楽しんでいる暴力や戦争ゲームの二番煎じの感覚が付きまとう。
後藤さんたちが着せられたオレンジ色の服も、キューバのグアンタナモ米軍基地の収容所で
テロリストの容疑者が着せられていた囚人服を模したものだ。そしてイスラム国の処刑も、
ある意味で米国が法的番外地で駆使した拷問や○人の模造と言えなくもない。
彼らはある意味、米国をはじめ西側諸国の暴力的な部分の模造であり、イスラムのそれでもあると言えるのではないか。
にもかかわらず、イスラム国を「悪の枢軸」とみなすことは、彼らに実体的な意味を与え、
私たちと完全に断絶した「絶対的な敵」にしてしまうことを意味する。人道に対する罪を犯す絶対的な敵には、
法の支配が及ばない。あるのは、徹底的な殲滅(せんめつ)と○戮(さつりく)だ。
だが、力によるイスラム国の消滅は可能だろうか。結論から言えば、それは不可能だ。
模造である彼らに対する恐怖は、テロとそれに対する報復、そしてテロの連鎖を通じて限りなく増殖し続けるからだ。
たとえ私たちの法治国家が、テロの脅威という緊急事態あるいは例外状態に対応する治安国家へと変貌したとしても、
恐怖がより少なくなり、安全な日常感覚が取り戻せる保障はどこにもない。
またそうした国家は、通常の法的手続きや監視を省いた専制的な国家にならざるを得ない。
緊急事態に備えることが、自由な言論や社会の多様性、活発な世論を萎縮させ、民主主義そのものを窒息させることになりかねないのだ。
ではどうしたらいいのか。まず軍事力など力だけを頼りにした即効的な手段では解決されないと銘記すべきである。
ゆえに、いわゆる有志連合による空爆の後方支援も厳に慎むべきだ。
後方支援とは、日本がかつての輜重兵(しちょうへい)を買って出ることを意味する。
輜重兵がどれほど多くの戦死者を出したかは、戦前の歴史が示す通りだ。
今回の場合、その犠牲になる可能性が高いのは、海外の在留邦人であり、
日本国内の普通の民間人ではないか。あえてそのリスクを冒す必要もなければ実効性もない。
では何が日本の選択であるべきか。ペシャワール会がアフガニスタンで実施してきたような、
生命と大地と水を主題にした大規模な人道・復興支援を政府が率先することである。
日本の立ち位置をそこに定めてイスラム国に向き合うしか道はないと確認すべきだ。
それは日本が、イラク戦争の失敗に学ばず、さらに力による殲滅へ前のめりになる米国と、ハッキリ異なる姿勢を取ることを意味する。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/teiron/article/145866
残忍な仕打ちと、ヨルダンの人質パイロットを焼き○す映像に、誰もが底知れない恐怖、
激しい憤りと悲しみを感じたに違いない。まさしくイスラム国は、「悪」の化身ではないかと思わざるを得ないほどだ。
ただ、映像技術と効果音を巧みに使った動画は、リアリティーを欠いたゲーム感覚を醸し出し、どこか既視感にあふれている。
ネットに繰り出す動画やメッセージには、世界中でゲーム愛好家が楽しんでいる暴力や戦争ゲームの二番煎じの感覚が付きまとう。
後藤さんたちが着せられたオレンジ色の服も、キューバのグアンタナモ米軍基地の収容所で
テロリストの容疑者が着せられていた囚人服を模したものだ。そしてイスラム国の処刑も、
ある意味で米国が法的番外地で駆使した拷問や○人の模造と言えなくもない。
彼らはある意味、米国をはじめ西側諸国の暴力的な部分の模造であり、イスラムのそれでもあると言えるのではないか。
にもかかわらず、イスラム国を「悪の枢軸」とみなすことは、彼らに実体的な意味を与え、
私たちと完全に断絶した「絶対的な敵」にしてしまうことを意味する。人道に対する罪を犯す絶対的な敵には、
法の支配が及ばない。あるのは、徹底的な殲滅(せんめつ)と○戮(さつりく)だ。
だが、力によるイスラム国の消滅は可能だろうか。結論から言えば、それは不可能だ。
模造である彼らに対する恐怖は、テロとそれに対する報復、そしてテロの連鎖を通じて限りなく増殖し続けるからだ。
たとえ私たちの法治国家が、テロの脅威という緊急事態あるいは例外状態に対応する治安国家へと変貌したとしても、
恐怖がより少なくなり、安全な日常感覚が取り戻せる保障はどこにもない。
またそうした国家は、通常の法的手続きや監視を省いた専制的な国家にならざるを得ない。
緊急事態に備えることが、自由な言論や社会の多様性、活発な世論を萎縮させ、民主主義そのものを窒息させることになりかねないのだ。
ではどうしたらいいのか。まず軍事力など力だけを頼りにした即効的な手段では解決されないと銘記すべきである。
ゆえに、いわゆる有志連合による空爆の後方支援も厳に慎むべきだ。
後方支援とは、日本がかつての輜重兵(しちょうへい)を買って出ることを意味する。
輜重兵がどれほど多くの戦死者を出したかは、戦前の歴史が示す通りだ。
今回の場合、その犠牲になる可能性が高いのは、海外の在留邦人であり、
日本国内の普通の民間人ではないか。あえてそのリスクを冒す必要もなければ実効性もない。
では何が日本の選択であるべきか。ペシャワール会がアフガニスタンで実施してきたような、
生命と大地と水を主題にした大規模な人道・復興支援を政府が率先することである。
日本の立ち位置をそこに定めてイスラム国に向き合うしか道はないと確認すべきだ。
それは日本が、イラク戦争の失敗に学ばず、さらに力による殲滅へ前のめりになる米国と、ハッキリ異なる姿勢を取ることを意味する。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/teiron/article/145866
引用元: ・【西日本新聞】姜尚中「イスラム国の武力殲滅は不可能。日本は米国の有志連合と決別し人道支援でイスラム国と向き合え」[2/16]
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