2014.06.30 (14:12) │ 主要ニュース,文化,運動,生活

在日一世のドキュメンタリー「ケジュボン！」　東京で上映会
〝生の声、ありのままの表情伝えたい〟
朝青東京が企画　制作期間1年3ヵ月

都内に在住する在日1世の証言を集めたドキュメンタリー映画「ケジュボン！」（主催＝同制作委）が
29日、東京・下北沢のトリウッドで上映された。会場には、200余人が訪れた。

「ケジュボン！」とは朝鮮語で、リレー競争で使われるバトンの意味。そのタイトルには、在日1世の
言葉の中から在日朝鮮人の歴史を紡ぎ出し、彼らの生き様を次世代につなぎたいという、制作者である
都内の在日3、4世たちの思いが込められている。映画は、1年3ヵ月にわたって制作された。

上映会後に制作委と参加者で一枚

日本の植民地となった祖国から日本に渡った在日1世。GHQと日本政府による弾圧、あらゆる差別に抗い
ながら、異国の地で民族の根を守ってきた。「『チョウセンジン、チョウセンジン』とどれだけ差別
されたことか」（朱永植さんの話）。国を奪われ、言葉と名前を奪われ、人間以下の扱いを受けた経験を、
自分たちの子どもたちには決してさせてはいけないという1世のたたかいを証言で紡いだ。

「男には勉強させて、女はみんな働いた」。済州島のサトゥリ（方言）混ざりの言葉で語るハルモニたち。
朝から晩まで海に潜り、低賃金の肉体労働で生計を立てた。あるハルモニは、日本に渡った夫の浮気が
発覚。しかし、自身の過去を振り返りながら豪快に笑い、冗談も飛ばす。あらゆる辛苦を味わってきた
女性たちのしたたかな表情も映し出された。 映画は、1世たちが生涯願い続けた祖国統一の実現を、
自分たちが成し遂げるという3、4世の決意が込められている。

上映会後に行われたトークショーでは、製作委員会メンバーが出演。金直幸さん（学習院大学2年）が
司会を務め、孫正恵さん（26）、金淑英さん、（23）、朴廣玲さん（上智大学3年）、崔明玉さん（31、
看護師）が、制作に携わる過程で感じたそれぞれの思いを語った。孫さんは高校時代、今回の映画を
通じてより多くの人たちに在日朝鮮人の歴史を伝えるいいきっかけになったと話す。「これで終わり
ではなく、今回をスタートにして、1世たちの思いが4、5世たちに受け継がれるよう尽力したい」と話した。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/06/0630rn/