韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領の支持率は「外遊で上がり、内政で下がる」の繰り返しだ。そこで大統領側近は、
中国の抗日戦勝式典への出席で高まった支持率を、１０月１６日からの米国訪問でさらに高めようと狙っているようだ。
しかし、同大統領の外遊には大きな問題がある。不眠症と扁桃腺（へんとうせん）…つまり「健康」という問題だ。

　最初に露呈したのは２０１４年３月、オランダ・ハーグで開催された核安全保障サミットだった。その時の大統領府報道官の
説明はこういうものだ。

　「大統領が体調不良のため、ウィレム・アレクサンダー・オランダ国王が主催する公式夕食会に出席できなかった」

　「大統領は（１１時間の）フライト中やオランダ到着後も、十分に睡眠を取ることができなかった」（以上、中央日報１４年３月２６日）

　ハーグでは日米韓の首脳会談も開かれた。安倍晋三首相が韓国語で話しかけたのに、大統領は「フーン」とばかり顔を背けたときだ。
これも体調が悪かったからか。一国の元首が「体調が悪いから」と顔を背けたとしたら話にならないが…。

　帰国後も、首席秘書官会議を開かず、閣議を欠席した。

　同年９月、今度は国連総会と気候首脳会議だ。「ぎっしり埋まったスケジュールのために体力が消耗して２３日夜
、随行医療スタッフの勧告を受け入れ点滴をうった」（中央日報１４年９月２５日）

　実権を持つ国家元首の健康はトップシークレットだろうに、中央日報は「朴大統領、再び“点滴闘魂”」と美談調の
見出しだった。ここで「再び」とあるのは、ハーグの時も点滴を打っていたということだ。

　今年４月の中南米歴訪は、セウォル号慰霊式もそこそこ出発して批判を招いたが、「長い南米歴訪によってコンディションを悪くし、
毎日注射と点滴を受けながら“南米セールス”に闘魂を見せていることが明らかになった」「扁桃腺が腫れて腹痛と発熱」と
ニュース１テレビ（１５年４月２５日）は伝えた。

　８月２６日は大統領府に与党議員全員を招いて昼食会があった。前日に妥結した北朝鮮との地雷問題の成果を、
この席で強調したかったらしい。

　しかし、「大統領は（南北）交渉の３日間、眠ることができず、目が充血していた」（東亜日報１５年９月１２日）という。
それだけならともかく「大統領の体調を考慮して、議員たちとの握手は省略された」（同）という記述に着目しなくてはならない。

　大統領主催の食事会では、出席者が列をつくり、大統領と握手してから着席するのが恒例だ。与党議員は１６０人ほど。
一言二言あいさつする議員がいたとしても３０分とはかかるまい。が、それが「体調を考慮して省略された」というのだ。

　どうやら朴大統領は、発言は勇ましいが、「蒲柳（ほりゅう）の質」（＝病弱な女性のこと）であるようだ。

　１０月の訪米では「高高度防衛ミサイル（ＴＨＡＡＤ）の韓国配備問題」を議題から外すことになったようだが、米国は
“ニコニコ顔の冷たさ”を見せるだろう。また“点滴闘魂”だろうか。

　■室谷克実（むろたに・かつみ）　１９４９年、東京都生まれ。

zakzak　2015.09.17
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150917/frn1509171140002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150917/frn1509171140002-n2.htm