文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が徴用賠償問題を解決するため来月発議する特別法(いわゆる「文喜相案」)が、こじれにこじれた韓日関係の解決策になるかどうか注目されている。文喜相案に反発する徴用被害者たちや同案に懐疑的な日本政府の支持をどのようにして得るかがカギだ。
韓日関係は、昨年10月末の韓国大法院の判決以降、急速に悪化し始めた。徴用責任がある日本企業は被害者に慰謝料を支払わなければならないという判決に、日本政府が「韓日請求権協定違反だ」「受け入れられない」として反発したためだ。半年以上、外交的解決策を見いだせない状況に、日本の対韓輸出規制(7月)や韓国政府の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了通知(8月)が重なり、確執は貿易・安保分野にまで広がった。韓国政府が今月22日に「GSOMIAの条件付き延長」を決定したことで差し迫った問題は回避され、その対価として日本が約束した韓日輸出当局間の課長級協議が28日、韓国で開かれたが、「確執の雷管」である徴用賠償をめぐる意見の違いは埋まっていない。
こうした状況で、文喜相議長は「韓日企業の自発的な拠出金や国民からの寄付などで『記憶・和解・未来財団』を作り慰謝料を支給する」という「文喜相案」を出したものだ。特別法制定により「戦後最悪」に陥っている韓日関係の突破口を開こうという趣旨だ。韓日企業の出資金(1+1)に国民の寄付など(α)が入ることから「1+1+α」案とも呼ばれる。文喜相議長室が作った草案には、日本政府が2015年の韓日慰安婦合意に基づき和解・癒やし財団に拠出した拠出金の残り(約57億ウォン=約5億3000万円)を新財団の資金に含めるという文言もあった。
日本の議会の一部からは、「日本企業の『賠償義務』をなくし「自発性」を保障するという点で、これまで韓国政府が出してきた案よりいい」という意見も出ている。一部議員はこのほど、文喜相議長に個人的に支持の意思を示したとも伝えられた。
しかし、日本政府は懐疑的だ。菅義偉官房長官は同日、文喜相案受け入れの可能性について「他国の立法府における議論や動向について、政府としてコメントすることは控えたい」と述べた。和解・癒やし財団の残金を新財団に移す案についても「日本として受け入れられない」と語った。
東京の外交消息筋は「日本政府は、文喜相案に強く反対している徴用被害者を韓国政府が説得できないと見ている」と話す。徴用被害者団体の多くは「文喜相案は日本政府に免罪符を与えるものだ」として強く反発している。日本企業が後ろに隠れ、韓国企業や国民の寄付で慰謝料を支払うなら、加害者の過ちを明確にして被害者の賠償権利を認めた大法院判決の意味がなくなるということだ。韓国政府も文喜相案についてさらに検討するが必要あるとの考えだという。韓国外交部の金仁チョル(キム・ インチョル)報道官は同日、「(政府は)どんな案でも発議され、伝達されれば関連の手順に従って誠実に検討する予定だ」と語った。
文喜相議長室は各界の意見をまとめて最終案を確定・発議し、来月24日に中国で予定されている韓日首脳会談の前に徴用問題解決への足がかりを作る考えだ。同議長室の関係者はこの日、「文喜相案の協議などを通じて、両国の見解の違いを埋め、首脳会談で『共同宣言』のような成果があれば、被害者の強硬姿勢もある程度和らぐだろう」と言った。
こうした中、日本では茂木敏充外相が康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部長官のことを「お飾り」と表現したと28日に報道された。日本の週刊誌「週刊文春」は外務省関係者の話として、「当初は茂木外相とGSOMIA維持派とされた康京和外相の間で話を進めることも検討されていたが、このルートは機能しなかった。茂木外相は彼女(康京和長官)について「青瓦台に刺さっていない。彼女はお飾りで、いくら話しても文(在寅=ムン・ジェイン)大統領は動かせない」と漏らしていた」と報道した。
金真明(キム・ジンミョン)記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/29/2019112980008.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/11/29 09:40
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